2012年9月18日火曜日

ティト・ビラノバ監督が採用する相対評価


グアルディオラ前監督のもとを独り立ちしてから初めて、ティト・ビラノバ監督はメッシにベンチスタートを命じた。エースがスタメンを外れたのは、昨シーズン第2節のレアル・ソシエダ戦以来、約1年ぶりのことである。

その当時のバルセロナであれば、グアルディオラもメッシも不在の状況に大きな悲観論が漂っていたことだろう。運命論を振りかざすまでもなく、バルセロナは大きな不安に覆われていたはずである。

しかし、ヘタフェとの試合では、メッシがピッチに姿を現す前からすでにリードを奪い、勝利を確実なものにしていた。プレー内容も申し分なく、彼らは至って普段どおりのプレーをするだけで、勝ち点3を手に入れた。

ヘタフェとのアウェーゲームと言えば、昨シーズン、4連覇を逃す決定的な試合となったオサスナ戦(211日、2-3/A)と並び、バルサが大きな失敗を招いた試合(1126日、0-1/A)として記憶されている。さらに今回は、相性の悪い主審との組み合わせ、“FIFAウイルス”感染など、別のハードルも存在していた。もちろん、直前のホームゲームでレアル・マドリーから勝利を上げたばかりのチームとの対戦だったということも忘れてはいけない。

よって、この試合を迎えるにあたって、バルセロナにはある種の恐怖があったはずである。スタメンのメンバー選考にも頭を悩ませたはずである。

ところが、ティト・ビラノバ監督は混乱することもなく、“10人のカンテラ出身選手の起用”という大胆かつ、戦略的なスタメンをピッチに送り出した。イニエスタ、アレクシス・サンチェス、ジョルディ・アルバの欠場が確定していたにも関わらず、メッシやダニエウ・アウヴェスまでもベンチに温存させた。

結果、特に素晴らしかった中盤では、チャビが試合をうまくコントールし、セスクは“偽9番”の役割を全う。ブスケッツのポジショニングは文句のつけどころがなく、今季初スタメンとなったチアゴ・アルカンタラに至っては、フィジカルとテクニックの融合という意味で、バルセロナが生み出した最高傑作の名に相応しい出来だった。

そして、昨シーズン後半に囁かれた“メッシ依存症”という疑惑に対し、いともあっさりと回答を提示し、メッシの不在が足枷とならないことを早くも証明してしまった。

ティト・ビラノバ監督の頭のなかは、11人でのプレー、ではなく、14人でのプレーがイメージ図に描か
れているのだろう。

スターティングイレブンの選考に偏りがなく、選手に対しては、プレーの均質化と共通理解を要求する。その決断力は、柔軟かつダイレクトでもある。フットボールに相対的価値を持ち込んだという点で、ビラノバ監督は誰よりも先をいっている。

今やレアル・マドリーとの勝ち点差は「8」にまで広がった。しかし、現在の状況を見る限り、ティト・ビラノバ監督はこのことを何ら不思議に感じていない気さえする。その姿はまるで、1人で“オトラ・リーガ”を戦っているかのようでもある。

http://deportes.elpais.com/deportes/2012/09/16/actualidad/1347747216_862844.html

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